播州駄菓子と岩手の駄菓子と編みぐるみ和菓子店、あっちでぐるぐるこっちでぐるぐる〜渦巻きかりんとう
播州駄菓子「常磐堂製菓」のかりんとう“渦巻き”
じつは“播州浪漫”という詰め合せ商品から渦巻きだけを拾い集めました。
いつだったか、かりんとうを食べながら「こどもの頃、ぐるぐる渦巻きのかりんとうを食べたよねぇ〜?」なんて話になりまして、あちこち探してみたのです。ところが、いろいろな種類のかりんとうを詰め合わせた中にぐるぐるが入っているものはあっても、ぐるぐるだけのかりんとうがなかなか見つかりません。
さて、よく見かけるかりんとうに「播州駄菓子」というのがありまして、これまた気になって調べてみると、どうやら「播州駄菓子=かりんとう」のようなのですね。そして江戸のやわらかくこねてふっくら揚げた生地とは違い、堅くこねてじっくり揚げるタイプが主流だそうです。
なんでも姫路藩が財政危機に陥ったときに、藩を立て直すために長崎に人材を派遣し、欧州人からかりんとう製造技術を学んで持ち帰ったことが播州駄菓子の始まりだとか。なぜ財政立て直しにかりんとう製造技術が有益だったのか疑問は残りますが、もうどうでもいいです、とにかく欲しかったのはぐるぐるだから。
ごりっと中身の詰まった堅こね生地と蜜の甘さが素朴な味わいでした。
常盤堂製菓:兵庫県姫路市船津町1788
※太子堂アトレ吉祥寺店にて購入。
その後、岩手あたりでは渦巻きかりんとうが豊富であるとの噂を聞きつけて東銀座へ向かってみると、播州のゴリゴリなぐるぐるとは違い、パリンとしたぐるぐるが待っていました。
いわて銀河プラザで見つけたビッグサイズ渦巻き、天台寺駄菓子「姉帯製菓」の手作りかりんとう。
渦巻きかりんとう以外にもひねり菓子やみそぱんなど、地元で人気の駄菓子店だそうですが、中でもこの薄くて大きなかりんとうが名物らしいです。
鮭の骨も粉末にして渦巻きに。「日進堂」の“鮭の中骨かりんとう”。
ふつうに甘いかりんとう、なのに後に残る鮭のあの独特な魚臭。笑っちゃったけど悪くはない、うん、たぶん悪くない。
姉帯製菓:岩手県二戸市浄法寺町八幡舘9-18
日進堂:岩手県宮古市実田1-5-17
※どちらもいわて銀河プラザにて購入。
***
これだけみんなでぐるぐるされるとやっぱり編みたくなるわけで。
編みぐるみ和菓子店のぐるぐる〜
播州のぐるぐるとほぼ同じ色の毛糸を探して作ってみたのですが、それではどうもそれらしく見えないのです。結局この色に落ち着きました。
ヒトの目(あるいは脳)って、不思議。
手作り感を出すために、まったく同じものができないようにがんばったのです。これくらいのサイズのものを同じに作らないのって、けっこう大変。そういう努力を運動不足解消に向けられないものかとも思う今日この頃。
→編みぐるみ和菓子店はこちらから。
***
そしてそして。とうとう4冊めです〜。
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こちらからお楽しみくださいませ→編みぐるみ和菓子店 4
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コメント
渦巻きかりんとう、かわいいー、そのままセーターにつけたい感じ♪
ワタシも好きですけど、やはり岩手の方が本場なんですね。昨年、陸前高田で遭遇した超特大の物が一番好きでした。
編みぐるみ店、タイの骨折の話に衝撃を受けてしまった(笑)
投稿: あんころりん | 2012-10-13 02:47
★あんころりんさん
セーターにつけてもかりんとうとは理解されないかも(笑)。
なぜ岩手では渦巻きかりんとうを作るのでしょう? そしてなぜ大きな渦巻きかりんとうを作るのでしょう? 不思議だー。
尾の骨がこぶ状になった鳴門鯛を食べたことがあるのです。ちょっと不気味だったんだけど、食べたらものすごーくおいしかったので、調べたらそういうことであると。
わたしもそのときはけっこう衝撃受けました。
投稿: kozue | 2012-10-13 23:06
かりんとうはざっと調べただけでも色々出ますね。
起源
1.唐菓子説
2.南蛮説
2.についてはスペインのペスティーニョPestiñoとの相似性が言われています。
姫路常盤堂製菓はうずまきの他に「奉天」や「兵長」という軍国少年受けしそうな商品や「糖変木(とうへんぼく)」という洒落た商品もあり、形も様々です。
江戸時代はどこの藩も赤字財政で殖産振興が盛んで播州姫路藩は日持ちのするかりんとうを京・大坂で販売することを狙ったのでは?と思います。
浅草の平なかりんとうもありますね。
宮城県北部の鳴子温泉に近い岩出山にはペスティーニョに似た形のかりんとうがあります。
http://www.shokokai.or.jp/04/0448110016/index.htm#sin5
こちらは一斗缶での販売もしていて一家そろってボリボリしていたことが想像できます。
http://item.rakuten.co.jp/lock110/9179472/
どちらも池袋にある宮城県のアンテナショップ・みやぎふるさとプラザにありそうです。
岩手県のうずまきかりんとうは三陸北部が主らしいですね。
あと、岩手県の三陸にはイカのエキスを使ったいかせんべいがあります。 こちらもイカの風味満点ですが、評価は人それぞれでしょう。
三陸と播州に似たようなものがあるということはある時京の都で流行ったお菓子が全国に広まったものの、今では二つの地域だけが残ったと推測します。
うずまきの編みぐるみは被災地のおばさんの手工芸で現地でご指導されてはいかがでしょうか?
投稿: 笹団子 | 2012-10-15 20:34
★笹団子さん
丁寧な情報をありがとうございます!
南蛮説はスペインのペスティーニョと、もうひとつポルトガルのコスクランというのがあって、常磐堂製菓のサイトにによると、同社の堅こねじっくり揚げ製法がコスクランに限りなく近いものなので、それを起源としているようです。
わたしが購入した“播州浪漫”という詰め合せにはひととおりの商品が入っていたので、かなり楽しめました。
それはそうと、一斗缶でポリポリって、核家族化した現代から想像すると、なかなかすごい光景ですよね(笑)。
そういえば被災地の編物サークルにたくさん毛糸をお送りしたのですけど、楽しく編みものしていらっしゃるかしらー。
投稿: kozue | 2012-10-15 21:23